AniLaPaint 1.7/仕様/基本作画方法

作画方法について説明します。
AniLaPaint にインポート可能な画像
紙の動画素材で書く場合の作画方法
  レイアウト用紙やスキャナーの設定について
  作画時のセル重ね
  作画時のセル番号
  トレス線について
    実線
    色トレス線
  動画のヌキ指示について
  動画の影指定
AniLaPaint にインポート可能な画像
AniLaPaint は、ラフな原画を動画用紙に鉛筆と色鉛筆でクリンナップし、原画の間の絵を同様にクリンナップされた状態で中割りした、いわゆる普通の業務用セルアニメの仕様に基づいた方法で描かれた動画をスキャナー付随のソフトでスキャンしてできた画像ファイルをインポートの対象としています。

そのインポート画像ファイル(動画素材)は以下のようになります。


STD 用紙に描かれた動画はタップを固定してスキャンするだけで良いのですが、長セルや大判セルを分割スキャンした画像の場合は予めAdobe PhotoShop 等のレタッチソフトで画像をつないでおく必要があります。

スキャンした画像ファイルの2値化はインポート時に AniLaPaint 上の設定で行うことができますが、他のソフトで行いたい場合にはインポートをする前に2値化しておいても構いません。また、2値化もペイントも他のソフトで行い、色トレス線や塗り残し穴の補完作業などの自動化のためだけに既に塗り終えた画像ファイルもインポートできるようになっています。

デジタル作画の場合、 PSD レイヤー や TIFF マルチページ で複数の画像が格納されているファイルに保存することがありますが、AniLaPaint へインポートする前にレイヤーまたはページを別々の画像ファイルに書き出しておく必要があります。レイヤーを書き出す機能は Adobe PhotoShop に標準装備されていますが、他にも色々なフリーソフトがあります。中でもコマンドラインで利用できる ImageMagick® がお勧めです。
紙の動画素材で書く場合の作画方法
業務用セルアニメの作画方法に従って作画してください。これを説明すると本が一冊書けるくらいの量になるかもしれませんので、ここでは述べません。市販の様々なアニメの作画方法に関する書籍などを参考にしてください。ここでは、この取扱説明書を読み進めるために最低限知っておく必要があることだけを記述します。
レイアウト用紙やスキャナーの設定について
最初からスキャンする事を前提にして作画しなければ後で困りますので、原画を描く前にレイアウト用紙やスキャナーの設定についての知識を持っておく必要があります。このことを詳細に記述したインポート画像ファイル(動画素材)のページも読んでおいてください。
作画時のセル重ね
セルアニメーションでは、背景の上に複数のセルを重ねることで1つの絵を表現します。一番奥が背景です。これは、AniLaPaint では扱いません。背景の上にAセルその上にBセル…のように下から順にアルファベットを付けます。例えば顔がAセル、目がBセル。さらに髪の毛がゆれる表現などがあれば髪がCセルとなります。このようにアルファベットが異なる素材のことを別セル素材と呼び、単にセル重ねという事もあります。別セル素材は、別々の動画用紙にクリンナップする必要があります。
作画時のセル番号
セルアニメーションでは、動画に番号をつけて管理します。 例えば、瞬きなどで開目・中目・閉目の3枚がある場合は1から3までの番号がつきます。(どれを1にするかは自由です。)
先ほどのセル重ねのアルファベットに続き番号を書きます。B1とかB2のように。このような表記をセル番号といいます。セル番号は、必ず動画用紙のタップ部分(例えば紙の右上)に書き込んでおきます。 番号は各アルファベット毎に1から始まる整数の連番と決まっており、決して 1.5 とか 1a, 1b とか中途半端な番号は付けないように努力します。アルファベット毎の最後の番号には end を付加します。たとえば、Aセルは1枚しか無いような場合でも、 A1 end と付けます。AniLaPaint では、この番号を 1 から 999 までの間で使用できます。

上記は紙の動画についての決まり事ですが、 AniLaPaint におけるセル番号のページも合わせてご覧ください。
トレス線について
アニメーション用語では、黒の主線のことを実線といいます。影やハイライトの境界線や水などのように輪郭が主線でない輪郭線のことを色トレス線といいます。この両方を合わせて単にトレス線といいます。動画用紙にトレス線をクリンナップする際にあらかじめ知っておいてほしいことを以下に記述します。
実線
実線は、普通の鉛筆で描くことになっています。アナログ時代は 2B の鉛筆で書く決まりがありましたが、それは当時のトレースマシーンが白熱灯を使用した感熱式のカーボン用紙の転写が 2B 以上でないと短時間で温まらずセルに転写できないという問題があったからです。(作者自身はシャープペンで動画を作画したことが一度もないので、このヘルプのサンプルで利用している動画は全て 2B の鉛筆で描いています。)
仕上げ以降がデジタル化された現在は、鉛筆の他にシャープペンもクリンナップに利用されています。シャープペンの芯の濃さは、スキャンした時良く出るようになるべくなら B や 2B を使った方が良いと思いますが、筆圧が強い人は HB でも判別できるかもしれません。実際の動画を描く前に、テストでクリンナップした絵を描いてみてスキャンして AniLaPaint にインポートして2値化で線が途切れないかどうかを確認しておくと良いでしょう。
色トレス線
色トレス線は、硬質の色鉛筆を使用します。普通の色鉛筆だと柔らかすぎて線を引いているうちに線が太くなったりしますし、太くならないように筆圧を落として描くと今度は薄くなりすぎて2値化で線が途切れてしまいます。なので、硬質の色鉛筆を使用するのが一般的です。
最近のスキャナは色の分解能力が高まっており、赤・青・桃色・紫・赤茶色・オレンジ・黄緑色等さまざまな色鉛筆を使用しても、インポート時の2値化で巧く判別できたりします。ただし、緑系全般や青系や紫系の濃い色は2値化で黒として判別してしまう場合があるので使うべきではありません。初心者の方は、赤が最も黒と区別のつく色なので、硬質の赤の色鉛筆を色トレス線に利用すると良いでしょう。
いずれの色鉛筆を利用するにしても、テストで1枚の動画用紙に鉛筆の線と共に複数の色鉛筆で線を引いたものをスキャンして AniLaPaint にインポートして2値化でどうなるか確認しておくと良いでしょう。スキャナーのメーカーや種類によって、どんな色鉛筆が判別しやすいのかは異なります。そういったテストをすることで、なるべく線が途切れない硬質の色鉛筆を各自選んで使用してください。
上記は、動画用紙に描かれたトレス線についての記述ですが、AniLaPaint にインポートして2値化した後のトレス線についてはトレス線をご覧ください。
動画のヌキ指示について

動画のクリンナップ時に色を塗らない部分、つまり透明にしておく部分にヌキ指示の×印を赤色鉛筆でつけると良いでしょう。これにより、細かい部分のヌキ部分を誤ってペイントしてしまうミスを防ぎます。これは動画の表面に入れます。ただし、他の線と接してはいけません。もしヌキ部分が狭すぎて×印が近くの実線や色トレス線に接してしまう場合には、動画用紙の裏面のその部分を赤色鉛筆で塗りつぶしてください。表面に×印を描くと、インポートで2値化して作られた彩色画像ファイルにもそのまま×印が表示されます。

これによって、どこがヌキなのか分かりやすいのでペイント作業が捗るからです。AniLaPaint では、他の線に接していない× 印はビルド処理で自動的に削除されるので、セル画像ファイル×印は残りません。
紙の動画の裏にヌキ指示がある場合には、その赤の部分が見えるようにライトボックスで透かして見ながら同じ動画の彩色画像ファイルをペイントすると良いでしょう。
動画の影指定
どこが影の部分かというのを仕上げをする人に伝えるために、原画には影の部分に色鉛筆で色を塗っておきます。例えば、1号影は水色で塗りつぶし、2号影はピンクなどで塗りつぶします。Hi(ハイライト)は黄色で塗りつぶします。ただし、このように塗りつぶすのは原画の場合です。動画の表面には一切影部分の塗りつぶしなどは行なってはいけません。プロの場合は、原画と動画と仕上げがそれぞれ別の人が行うので、動画マンは動画用紙の裏側に薄く影の塗りつぶし指定を行います。濃く塗りつぶすと表をスキャンしても裏が出てしまうことがあります。影の塗りつぶし指定を動画に行う場合は、裏面に相当薄く行ってください。個人制作の場合は、原画に影塗り指定がされていれば充分であると思います。
紙の動画の裏に影やHi指示がある場合には、その部分が見えるようにライトボックスで透かして見ながら同じ動画の彩色画像ファイルをペイントすると良いでしょう。
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