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[PCコンテ01] 絵コンテ用紙を作成する(1)

これから数カ月かけて、PCで絵コンテを書くための1つの方法を紹介したいと思います。

ここで紹介する方法は、絵コンテ用紙を画像データにして、単にペイントソフトでそこに描き込むいう単純な方法ではありません。絵のコマを描くのにはペイントソフトを使用しますが、ページのレイアウトや秒数の合計管理などを含めてワープロソフトに任せることで、最後には完成品コンテをPDFファイルで出力するところまで説明します。

かなり基礎的な部分から書きますので、アレンジを加えて自分なりの絵コンテシステム…とも呼べる環境を構築できるようになるでしょう。

絵コンテ用紙を作成する

さて、まず最初に絵コンテ用紙が無くては話になりません。今日は、絵コンテ用紙の作り方を説明します。

ここでは一般的な形式の絵コンテ用紙の作り方の説明をしますので、各人アレンジして自分なりのコンテ用紙を作ってください。

また、紙で使用している絵コンテ用紙をデータ化したい場合は、まずスキャンしてそれをアタリにして作成すると良いでしょう。

■用紙サイズやDPIを決める

まず最初に、絵コンテ用紙のサイズを決めます。今、大抵のスタジオではB4版やA4版のコンテ用紙を使っており、コンテマンが自分に使い易い大きさの用紙を選択して描くのが普通です。

PCで絵コンテを描く場合、この用紙サイズについては気にしなくても良いでしょう。なぜなら、画面上で自由に拡大縮小が可能だからです。それに、紙の場合でもB4絵コンテはA4に縮小して印刷するのが普通ですので、印刷時の煩わしさを減らすためにも、PCでは最初からA4サイズとして作っておくのが懸命です。

DPI値は、最終的に印刷物にしても良いように300dpiで作成することにしましょう。

■コンテ用紙を作成する

ここでは、Photoshop Elements を使って、コンテ用紙を作成するまでの過程を説明します。他の画像ソフトを使用されている方は、そのソフトに搭載されている同様の機能に読み替えてみてください。

●白紙ファイルを作成する

まず、Photoshop Elementsを立ち上げて、メニューから「ファイル(F)」→「新規(N)」→「白紙ファイル」を選択するか、または、「Ctrl+N」キーを押すと、「新規」ダイアログが開きます。

そこで、ファイル名をここでは仮に「konte_body.tif」、プリセットを「日本標準用紙」、サイズ「A4」、解像度「300 pixel/inch」、カラーモード「グレースケール」とします。もし、罫線などをカラーにしたい場合は「RGBカラー」とします。

「OK」ボタンを押すと、白紙ファイルが開きます。

●絵を描くコマの大きさを決める

最初に、絵を描くマス目(コマ)の大きさを決めます。絵コンテ用紙のコマの大きさに決まった規格などはありません。自由に設定して良いのですが、ハイビジョン機器用の作品の場合の画角は16対9です。また、コマの大きさは、横2フレームPANなどが描けるサイズに納めるのが適当です。

▼dipにまつわる注意点

ペイントソフト単体で絵コンテを描く分には、コマの大きさとdpiの関係を一々考える必要はありません。しかし、ワープロソフトと併用してコンテを作成する場合は、この点を考慮しないといけません。

ペイントソフトは、ピクセル単位…、つまり1ドットの点の集まりとしてのデータを管理し描画しています。一方、ワープロソフトはインチ単位(センチ単位ではありません)で内部計算を行い、画面表示や印刷をします。

この2つのソフトの間のデータの受け渡しにおいて、dpi値が使われます。これはPhotoshop で言うところの解像度のことであり、pixel/inchと同意語であります。

では、300 dpi (= 300 pixel/inch) の場合の1ドット(= 1 pixel)のインチ数を計算してみます。

300 dpi = 300 pixel / 1 inch なので、 1 inch = 300 pixel です。つまり、 1 pixel = 1 / 300 inch = 0.00333333…. となり無限小数となってしまいます。つまり、300 dpi に設定する限り、1 pixel 単位の計算場面では、ワープロソフト内部で適当な値に切り捨てて処理される可能性があります。C++言語で言うところのdouble 型で値が確保されるのなら、切り捨てられるとしても誤差が少ないのですが、それよりも容量を抑えた計算をしている場合、ワープロの表と、ここで作る用紙のコマの位置が目で見て分かるほどずれてしまうということが起こるかもしれません。

3 pixel = 0.01 inch ですから、これなら切り捨ての誤差も発生しません。300 dpi に設定した場合は、3 pixel 単位で絵コンテ用紙の罫線などの位置を設計する必要があるということを抑えておきましょう。

▼コマの大きさを決める

では、実際にコマの大きさを決めましょう。

まず、16対9であることと、3 pixel単位が妥当であると言うことを考慮すると、

横 = 16 × 3 × [ ? ? ? ?? ] pixel

縦 = 9 × 3 × [????????? ] pixel

この[??????? ]の値を決めれば良いわけです。

一方A4用紙サイズの横のピクセル数は、2480 pixel ですから、ここに少なくとも2フレームPANができるだけの大きさということだと、

2480 / 2 = 1240 pixel

16 × 3 × [????????? ] = 1240

[????????? ] = 1240 / ( 16 × 3 ) = 25.8333333….

となり、[????????? ]は最大でも25ということが分かります。

しかし、25 にしてしまうと、紙の横の余白がほとんどなくなってしまいます。両方に1センチ以上の余白は最低でも必要でしょう。

横サイズが 2480 pixel = 210 mm なので、20 mm = 2480 / 21 × 2= 236.19…. pixel

つまり、使用可能な横ピクセル数 = 2480 – 236 = 2244 pixel として計算し直してみましょう。

2244 / 2 = 1122 pixel

16 × 3 × [????????? ] = 1122

[????????? ] = 1122 / ( 16 × 3 ) = 23.375

となります。実際には、コマの左側にカット番号を書くための欄が1センチほどは必要ですから、ここでは余裕を持たせて、21 として、コマの大きさを決めてみます。

横 = 16 × 3 × 21 = 1008 pixel

縦 = 9 × 3 × 21 = 567 pixel

▼実際にコマを作ってみる

では、Photoshop Elements を使ってコマを作成してみましょう。ここでは正確なピクセル数で罫線を引きたいので、罫線ツールなどは使用しません。選択ツールとバケツツールを使いマス目を描いて見ます。

これは、文章で説明するのは難しいので、以下のムービーを見てください。(FlashムービーなのでPCから閲覧してください。)

1) 白紙ファイル作成からコマを1つ作るまで [約1.2MB]

ムービーの中で選択範囲の縮小機能を使って線を残しています。ムービー内では線の幅を10 pixelにしていますが、印刷時鮮明な罫線にしたい場合は 9 pixel にしておいた方が良かったかもしれません…。

2) 1つのコマをコピーで増やして5つ縦に並べるまで [約1.2MB]

コマを5つ縦に並べて、レイアーをまとめています。以上ムービーは視覚で分かるようにショートカットキーを使っていませんが、ショートカットなど知っていればもっと楽にできます。

今日のところは、ここまでにします。

次回はカット番号や内容・セリフ・尺の欄などを作っていきたいと思います。